オアハカで知り合ったサトさんとまさかの下北沢で再会した。
オアハカに住んでた頃、サトさんは日中はデッサンの学校に行っていて、夜になると私たちが借りていたアパートのすぐ近くで地元の人に混ざって道売りをしていた。
時折、誰かが「サト、歌って!」と声をかけると、いつも持っている小さなギターのような楽器をケースから取り出して、ソンハローチョという伝統音楽をピンと張っているのに穏やかな声で歌っていた。
私はそんな彼女の隣に座らせてもらう夜が好きだった。彼女の作るアクセサリーを見に来る人、挨拶にやってくる他のアーティストたち、隣近所に夜店を出しているおばあちゃんたちとお喋りしながら、あの町の夜の時間が内包する優しさを知って、体にしみ込んでくるのが好きだった。
さとさんは明日にはオアハカに帰るという。私はいつになるだろう。
さとさんの歌声は、オアハカの時とちっとも変わっていなくて、それは私に「あなたはあの時と変わらずにいる?」と問いかけた。メキシコを離れて10ヶ月、日本に帰国して1ヶ月が経って、随分とあの時の自分とは変わってしまったかもなと思う。
たっぷりの時間をまとって、人の言葉や気配や仕草を感じていたオアハカでの時間。そうやって生きていきたいと思うのに、どうして、この町に戻ってくるといつの間にか意図が絡まってしまうんだろう。
さとさんに会いにきた沢山の人たちと下北沢の夜の町を歩いた。私がちょっと遠回りだけどいい?と行って、この町に来てくれる人たちを連れて行く闇市を、彼らは当たり前のように通ってくれた。あれ、この魚屋さんなくなっちゃうんだね、とみんなで立ち止まったところには、降りたままのシャッターに「98年間、ありがとうございました」と張り紙がしてあって、この町がこれから失っていくものが、そこに凝縮されている気がして痛かった。
今晩たくさん歌ってくれたから、私もあの町の空気を少しだけまた纏えた気がしたよ。
さとさんの歌声は、オアハカの時とちっとも変わっていなくて、それは私に「あなたはあの時と変わらずにいる?」と問いかけた。メキシコを離れて10ヶ月、日本に帰国して1ヶ月が経って、随分とあの時の自分とは変わってしまったかもなと思う。
たっぷりの時間をまとって、人の言葉や気配や仕草を感じていたオアハカでの時間。そうやって生きていきたいと思うのに、どうして、この町に戻ってくるといつの間にか意図が絡まってしまうんだろう。
さとさんに会いにきた沢山の人たちと下北沢の夜の町を歩いた。私がちょっと遠回りだけどいい?と行って、この町に来てくれる人たちを連れて行く闇市を、彼らは当たり前のように通ってくれた。あれ、この魚屋さんなくなっちゃうんだね、とみんなで立ち止まったところには、降りたままのシャッターに「98年間、ありがとうございました」と張り紙がしてあって、この町がこれから失っていくものが、そこに凝縮されている気がして痛かった。
今晩たくさん歌ってくれたから、私もあの町の空気を少しだけまた纏えた気がしたよ。
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