2016年3月3日木曜日

日々ドラクエ

前々から書こうしていたある話の素材を集めるべく、チリ南部から中部に向けて北上を続けているのだけど、これが日々ドラクエ。

例えば今日探していたのは、かつて留学していたときに2夜だけ泊めてもらった原住民の村。中部のどこかとしか記憶にない...

南部にプエルトバヤスの町に訪ねた昔の先生が「確か君たちはまず近くの小さな町かカニェーテの博物館にいった筈だ」と言うので、そこまでバスに乗り(近くの街からも1日に3本しか出てなかった...)民宿に泊まり、翌朝博物館へ。

素敵な民宿の女将さんは「ようこそ、カニェーテの町へ!」と笑顔で迎えてくれるも、原住民の人の村を探していて...という話は漠としすぎて通じない(ドラクエ風にいくと「ようこそ!ここはいい町だよ!」が繰り返される感じです

博物館がこれまた町の外れにあって、村人に会うたびに道を聞く。
「博物館はこの南だよ」
「博物館はこの道じゃないよ」
「博物館はこの西だよ」
「......」
「バスに乗ったほうが早いよ」

博物館へ。
客さんを案内していたお姉さんに話しかける。
「12年前に留学ねぇ。村ならこの周りに沢山あるよ。名前わかる?」
「コマンド→いいえ」
「..当時のメモとかないの? 」
「コマンド→いいえ(ノート無くしちゃって)」
「.......」(お姉さん)
「.......」(私)
この先のイリクラ谷に海外から若者の面倒をたまに見ている人がいるから、彼に会いに行ってみたら?」
「コマンド→はい」
「博物館の前からバスに乗ったら、彼の家の前で停まるわよ」

バスは観光用でもおかしくないような大型のクーラーがきちんと効いたやつで乗客は私たちのみ。地元の人たちが乗ってくる気配もない。
マニュアルさんの家の前で降ろしてくださいと、博物館の人から言われた方法を試みるものも、うーん、そんな人は知らないないねえ、となってしまう。
「ここで降りたいのかい?」
「コマンド→いいえ(わかりません)」
「ここで降りたいのかい?」
「コマンド→いいえ(ここどこ?)」
「ここが谷の出口だよ。ここで降りるかい?(はい、当てずっぽう)」

結局、村など見えない谷の入り口で降ろされる。

そこから近くの村まで歩いていると、通りかかったお姉さんの車が停まってくれる。
「マニュエルさん?知らないけど、次の村の人なら知ってるかも? そこまで乗せてあげるよ、どう?」
「コマンド→はい」

長くなるので割愛しますが、そこから村人A〜Oくらいの聞き込みの末に、マニュアルさんが、谷の反対側に住むことが判明。村の人に送ってもらってようやくマニュエルさんを発見しました。

と言っても私はこの人とは面識がない。「やあ、何か用かい?」
12年前に来たかもしれなくて..ともごもご話始めると、
マニュエルさんは急に笑顔になってハグしてきた。
「あー、君ね、覚えているよ!」

彼の話してくれた私の思い出は、聞けば聞くほど私のそれとはちぐはぐで
彼が覚えてたのは私の次の年か半年後に来た韓国人の女の子のことだとわかるのだけど、
彼の家にあった来客帳には確かに私の名前があった。

一緒に留学した仲間たちの名前も、私がその時好きだった子の名前もあった。
私は確かにこの村に来たことがあるらしい。

どん、とぶつかり、相手の話や記録から自分が何者なのかを探っていく
そんなところまでRPG的。


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