雨の中の荷物を運び出して
ふらふらしながら帰ってきた家は
がらんとしていて、声がよく響いた。
匂いが違う!と夫が驚く。
最初に内見に来た時と同じ
建物の匂いがした。
今朝まで私たちの家だった空間が
「物件」に戻ったのを知った。
和室にごろんと寝転ぶ。
久しぶりに畳の匂いがする。
最初のころ襖を開ける度に香り立っていた
緑の匂いが懐かしく甦る。
この部屋の天井の梁に一目惚れして決めた家だった。
「家具をどかしたから香るのかな?」
色々言い合ってみるけれど、真相はわからない。
照明を取っ払った部屋は、ひとたび日が落ちると
あっという間に暗くなった。
ふらふらしながら帰ってきた家は
がらんとしていて、声がよく響いた。
匂いが違う!と夫が驚く。
最初に内見に来た時と同じ
建物の匂いがした。
今朝まで私たちの家だった空間が
「物件」に戻ったのを知った。
和室にごろんと寝転ぶ。
久しぶりに畳の匂いがする。
最初のころ襖を開ける度に香り立っていた
緑の匂いが懐かしく甦る。
この部屋の天井の梁に一目惚れして決めた家だった。
「家具をどかしたから香るのかな?」
色々言い合ってみるけれど、真相はわからない。
照明を取っ払った部屋は、ひとたび日が落ちると
あっという間に暗くなった。
残しておいたフルートのランプを付けると
明かりの温かさと同じくらいほっとする。
ここは、まだ私たちの家だ。
1階で夫がキッチンの掃除をしている音がする
わたしは寝不足が響いて、現実と夢の間に浮いている
感傷に浸るには 疲れて感覚がうまく機能しない
なにかオチをつけるにも頭が上手くはたらかない
そうして時間が過ぎていくことが惜しいなと思う
明日からは別の流れが私たちを運んでいって
この気持ちには綺麗に上書きされてしまうのに
明かりの温かさと同じくらいほっとする。
ここは、まだ私たちの家だ。
1階で夫がキッチンの掃除をしている音がする
わたしは寝不足が響いて、現実と夢の間に浮いている
感傷に浸るには 疲れて感覚がうまく機能しない
なにかオチをつけるにも頭が上手くはたらかない
そうして時間が過ぎていくことが惜しいなと思う
明日からは別の流れが私たちを運んでいって
この気持ちには綺麗に上書きされてしまうのに