2015年8月25日火曜日

公園でのひととき




引っ越し作業の息抜き
行きつけの店にご飯を食べに出て
夫とずっと先の未来の話をした。
時々私たちの間に訪れる、静かに夢が溢れる瞬間

「いなくなるまで毎日来てくださいね!」
お店の人たちに見送られて、公園の階段を下る。
夏の終わりの公園に人と音楽が戻っている。

今日の橋の上はエレキギターとベースのデュオ。
アンプに繋がれて奏でられる、夜をそのまま包むようなメロウな曲。

音に包まれた森の中を歩くと、映画の中にいるみたいな気持ちになる。
現実と夢の境にぽっかりと浮いたような時間にとどまりたくて
水面の近く、ベンチに腰を降ろした。

遠くの橋で下から照らされて水面に映る、
人や、車輪や、犬の影が橋の上を通り過ぎていく。
「だれが設計したのか知らないけれど、
あの橋と水の近さが好き」と夫が言う。

ところどころに明かりをつけた古いアパートが
水面に映り込むとフンデルトバッサーの建築さながらに揺らぐ。

ゆっくりと水面を横切る黒いカモの向こうを
帰る人、これからどこかに向かう人
ぽつ、ぽつと、いろんな早さの自転車が横切っていく

この心地よさの中にずっと浮かんでいたい。

音は前に進む。それに乗って私たちも前に進む。

演奏が途切れて蝉の声が戻ってきた。
それは少し弱くなっていて、夏は終わるのだと思った。

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