2015年9月22日火曜日

暮らしと旅のスケッチ

Pinned

整理整頓が苦手だ。小学校のころ、通信簿に「整理整頓」の欄があった。いつも「がんばろう」だった。

日々、目の前を過っていく言葉を捕まえるのが好きだ。それは小さいころからの日記帳に、理科や算数と書かれたジャポニカ学習帳に、インタビューノートの端に、あるいは何も持ち合わせてなかったカフェで見つけたテーブルナプキンの上に、書き留められている。最近では歴代のノートパソコンの中に,あちらやこちらのブログに、さらに最近ではいくつかのSNS上に、ばらばらに散らかっている。

20159月。少し長い旅に出かける前のこと。1週間ほど実家にもどって昔住んでいた部屋の片付けをした。20年弱暮らした部屋のベッドの下からは、大小、色も素材も様々な日記帳やノートが大量にでてきた。しわくちゃになったナプキンや、コースターの裏の走り書きもでてきた。それらは捨ててしまう予定だったのだけれど、日々、手を伸ばして捕まえてきた言葉たちは、そのままこれから書くものの肥やしになるような気がして、結局ダンボールにまとめて積んできてしまった。何冊かはバックパックに入れて、新しい生活に持ってきた。

あるひとが「本を書くということは、記憶を言葉で固定して、それ以外を失ってしまう行為だ」と言った。本を書くようになった今、彼の言葉が沁みる。それもあって、直近の本に活かされなかった記憶を失いたくないと思っている。

問題はどう管理するかだ。いつの間にか旅とも暮らしともつかない日々がはじまって、これまでの日記帳もこれからのものも全部持ち歩くことは不可能。SNSはいいね!に向かいすぎる。それも無意識のうちに。それでブログに行き着くのだけれど、例えば、国別にカテゴリーをわけてもその隙間に落ちてしまうものがある。テーマを決めてブログを作っても、だいたいそこにはまらないものが出てくる。

結局、同じハコの中に時間軸にそって放り込んでいく以外、日々のかけらを集める方法はなさそうだと落ちついた。あくまで「かけら」なので、とくに起承転結やオチがないもの、そのままでは外に出せないものも多い。いま見直せば、きっとなにかあたらしい言葉を加えたり、削ぎ落としたりすることもあるだろうけれど、基本は見つけた紙切れや、ああ覚えておきたいなと思う瞬間、浮かんだ言葉を捕まえただけのような走り書きをどんどん放り込んでいく場所にしようと思う。

日々前に進みながら、記録をたぐり寄せて大きく過去にも遡る。背景は白。

毎日変わっていく日々の色は、全てがまざりあえば、白になる。

それはささやかな色彩が映えて、そこから何を始めてもいい色でもある。







0 件のコメント:

コメントを投稿